56 日本人がごはん党からパン党になった理由
昨年、日本は、戦後の1954年から施行の学校給食が、60周年を迎えました。米飯中心だった日本で、パンと牛乳の給食がはじまったことには、訳があります。
戦後の食糧難で栄養失調児があふれた日本へ、米国から最初は寄付という形で脱脂粉乳や小麦粉が寄贈されました。それに多くの児童が救われたことは確かですが、”人は子供の頃に覚えた味に郷愁を感じる。給食に組みこめば、日本人は生涯、パンやミルクを食べ続けてくれる。” と、背後に、将来も米国産小麦 他を売り込むための計画が敷かれていました。
パン職人養成のための費用や、洋食を知らない日本人を街頭で集めて、洋食の実演と味見をさせるキッチンカー200台を全国約2万ヶ所に走らせた費用等も、オレゴン州の小麦栽培者連盟を中心に出されていたと言います。又、厚生省が、栄養改善運動として、欧米型食生活を理想とした指導を熱心に行ったこともあります。
こうして、いつのまにか日本人はパン、ミルク、洋食好きになり、現在、健康面で過去にはなかった問題がいろいろと出始めていますね。(参考:アメリカ小麦戦略と日本人の食生活 鈴木猛夫著)三十うん年前の私の小学生時代も、パンとマーガリンと牛乳+おかずがセットでした。牛乳を飲む私に、明治生まれで牛乳が飲めなかった祖父が "よくそんなものが飲めるな。”と言っていたのを思い出します。ただ、パンとマーガリンだけはどうしても好きになれず、月に一度だけのごはんの日はとても楽しみでした。
読売新聞(2015/11)の記事によれば、現在95%以上の学校が週3回以上の米飯を出し、今も週5日を目指して増加傾向とのこと。2013年に和食がユネスコの無形文化遺産になったこともあり、和食に合わない牛乳ではなく、他の食材で栄養を補う試みも多くの地域で取り組まれているとか。喜ばしいことですね。
小さい頃に、日本人の体質にあったごはん+おかずを食べて、それが生涯に渡って郷愁を覚える味になれば、ラクに一生の自分の健康管理ができそうです。
そして2005年からはじまった食育基本法。和食、和食器を知る。田植え、稲刈りの経験。釣った魚を給食で食べ、漁業を学ぶ。育てた大根を給食でスープや煮物に。など各地でいろいろな工夫が試みられ「食に関する自己管理能力を養い、食べ方のセンスが身に付くように」と推進されているのは、素晴らしく生きた学習だと思います。
さて、英国ではどうでしょう。今から10年前、ジェイミー・オリバーが奮闘した英国スクールディナー改善運動については、このコラムの 21 をご覧下さい。あれからどう変化したのか、次回につづきます。
今月は夏向けに、新ジャガを生で食べるサラダを作りましょう。
(しゃきしゃきしておいしいですが、生を食べ過ぎると、人によってはお腹がゆるくなりますので、食べ過ぎにはご注意ください。)よく洗ったニューポテト250−300gを千切りにする。流水で、でんぷん質を洗い流して、よく水気を切ってボウルに入れる。千切りにして少し塩もみした人参小1本やグリーンペッパー半ヶ(もしくはレッドオニオン半ヶの薄切り)を加え、米酢大さじ1、ごま油小さじ1,しょうゆ大さじ1.5、ライトブラウンシュガー小さじ2もしくは米飴(ライスシロップ)大さじ1.5、すりごま大さじ2、好みでカニカマかハムの千切り少々を加えてできあがり。お好みのドレッシングやマヨネーズ+青のり+しょうゆで和えてもおいしいです。
(お腹がゆるくなりがちな方は、千切りしたあと、さっと湯にくぐらせて、流水ででんぷんを洗い流すと良いです。)