48 糖質制限ダイエットに疑問
少し前まで肥満というのはアメリカ人の代表名詞でしたが、英国でも増加の一方をたどり、現在、国民の6割強が肥満傾向にあり、そのうち2.5割は病的肥満(適正体重の140%以上)と言われています。皆さんの中にもダイエットに励んでいる方がいらっしゃることでしょう。世の中にはいろんなダイエット方法がありますが、中には一時的には効果があっても長期的な目で見れば、体に危険なものもあるようです。
英国で今、話題になっているのがフランス人医師が提唱しているDukan Diet。日本では、糖質制限ダイエットというのが大流行のようですね。どちらも、基本的に糖質を含む食品、炭水化物の摂取を制限しています。ややこしいカロリー計算などいらず、しかも急速に体重を落とせるということで人気のようですが、どうにも不自然で危険なダイエットに思えてなりません。
たとえば、釜池豊秋著「糖質ゼロの健康法」という本を開いてみると、大いに食べるべき食品は、肉・魚介類・玉子・乳製品。代表的NG食品は、穀類、芋類、砂糖、甘味料、豆類、フルーツ、ナッツ、菓子。利用できる市販商品には、パルスィートや糖質ゼロとうたってある商品。糖質の多い野菜(かぼちゃや玉ねぎ、根菜類)はNG、キノコは乾物はNG、果物はアボカドだけOKなどと書いてあります。
しかし、故島田彰夫先生は、ヒトの持つ消化酵素の中ではアミラーゼ(でんぷん分解酵素)の活性が高いこと、人間がもともと熱帯を起源とする歴史、歯や体の形態などヒトを動物として考えると、その食性はでんぷん(穀類・芋類)を中心とした植食性である、とおっしゃっています。(人間が文化を持ち、地殻変動やいろいろな理由で世界に散らばったからこそ、本来は植物性食品をとりたいところ、特にヨーロッパなど寒冷地では収穫に偏りがあるために、代替品である肉や乳製品をとらざるえなかったのです。)マクロビでも、穀物菜食は基本ですね。たしかに、万病の元である砂糖や精白製品(白砂糖、白米、精白小麦粉、パスタ・麺・パン類、精製塩等) を排除することは良いことでしょう。精製されて大切な微量栄養素の集合がごっそり抜け落ちた白米と、生命体そのものである玄米とでは全く別ものであり、同義に炭水化物とは呼べないと多くの方が指摘されています。白米を食べると太りますが、玄米は食べてもそう太りません。人間は、植物性食品を未精製のWhole foodsの状態で食べてこそ健康にやせられるのです。
約10−15年前には同じく炭水化物の摂取を制限したアトキンス式ダイエットが大流行しました。動物性たんぱく質(お肉)+脂肪は好きなだけ食べて良く、炭水化物は太るので控えるように という内容で、お肉がやめられないアメリカ人のハートをつかみました。初期には確かに体重減少の効果があるようですが、長期的には動物性たんぱく質+脂質の食べ過ぎにより、便秘・痛風・偏頭痛・不整脈・腎臓障害・突然死・がんのリスク増加など多種の合併症を起こす可能性が高く、このダイエットをした多くの人から訴えられて2004年アトンキンスニュートリッショナルズ社は破産宣告されています。結局この手のダイエットは、血糖値の上昇はおさえられても、体重は減らせても、いびつな食事法により、他の内臓に負担をかけ、血を酸性化し、体調を悪くしかねません。どうぞお気をつけくださいね。
今月は簡単でおいしくヘルシーな茹で発芽豆のおつまみを作りましょう。
お豆は (Spritされているもの以外)なら何でも良いですのでたっぷりの水に一晩〜まる1日漬けましょう。お豆がしっかりと水分をふくんでしわがない状態になれば、水をすて、ラップをかけて乾燥しないようにして室温におきます。その後1日に一度お水で洗って、芽がでてくるのを待ちます。かわいい芽がでてきたら、鍋に水をたっぷりと沸騰させて、約10分茹でます。お豆は発芽すると栄養価もアップし、早くやわらかくなるのでゆで時間も短縮できるのが良い点です。いろんなお豆がミックスで入っているときは、大きなお豆がやわらかくなるまで茹でると良いですね。ざるにあげて、シーソルトをふっておつまみに、子供のおやつにもいいですよ。良く噛んで召し上がれ。(面倒だな、と思った方は、Birds Eye社のFrozenのSoya Beansを茹でてやわらかくなれば、ざるにあげ、塩をふって食べるのもいいですね!)また、小粒の豆を発芽させたものなら、茹でずにそのままサラダにちらしてめしあがるのも良いです。
写真2: ウェイトローズの10種豆ミックスはいろいろ入ってて楽しいです♪