57 ごはんとお味噌汁だけでいいんだよ。
夏の一時帰国、八丁味噌の蔵を訪れ、発酵学者の小泉武夫先生のお話を伺い、改めて味噌がどれだけ素晴らしい食品であるか、を再認識してきました。日本人にとって味噌汁はとても大切なソウルフード。お食事に味噌汁があると、ほっこりとリラックスして穏やかな気持ちになりませんか。これから寒くなるシーズン、どんどん温かい味噌汁を召し上がって頂きたいと思います。
昭和30年代まで、日本人は一人あたり1年に約一斗(18L)もの味噌を消費してきました。しかし洋食化がすすんだ現代、皆さんはどれくらい味噌を召し上がっているでしょう。「 和食の基本は、ごはんと味噌汁(一汁一菜)。これに余力があればおかずを何か1品用意する、と考える。おかずから考えるから、メニュー作りに頭を悩ませてしまう。具だくさんの味噌汁があれば、それで良いのです。」と、NHKでお馴染みの土井善晴さんはおっしゃっています。味噌には大豆の豊かな栄養が吸収されやすい形で含まれている上、具には季節の野菜に、豆腐、油揚げ、納豆、豆などたせば、良質なたんぱく質も一緒にとれます。
「味噌汁は塩分が高いから血圧を上げる。」と未だに誤解されていますが、全くそんなことはありません。味噌の塩分は、発酵・熟成していく過程でまろやかになり、体に及ぼす作用も塩とは違ったものに変化しています。加えて、野菜や海藻(カリウム等)の入った味噌汁は、塩分(ナトリウム)をうまく排泄する上、ほっとリラックスする効果も相まって、むしろ血圧を下げることがわかってきました。毎日1〜2杯の味噌汁を飲む人は、がん、脳卒中、認知症、心疾患など生活習慣病のリスクを下げ、腸のコンディションを整え、老化を防止し、骨粗鬆症にも効果があり、その上、放射線防御効果もあるのです。
逆に言えば、味噌汁が毎日の食生活にかかせなかった頃の日本には、こういった病気は極めて少なかったのですね。江戸時代の「みそ汁は医者殺し」「みそ汁は不老長寿の薬」ということわざにもあるように、どんなお薬よりも毎日のお味噌汁の方が効果があると言えそうです。
お味噌汁を毎日は無理という方も、今より週に1度でも2度でもお味噌を口にする機会を増やせるといいですね。はちみつと和えてディップ(もろきゅう)に、ドレッシングやいろんなお料理の隠し味にと、様々な形でお味噌の登場回数が増えますように。またこれから、自家製お味噌を作る会を増やしていきますね。
今月は、秋なすと大根の味噌風味を作りましょう。
ソテーパンかフライパンにごま油適量を入れ、一口サイズに乱切りにした大根(かぶ Turnip でもおいしい)約450gをじっくりと、少し色付くまで炒めます。(弱めの中火で、蓋をしながら蒸し炒めするとよい。) そこに、同じく乱切りにした茄子1本 約350g 加え、少しオイルを足せば全体をよく混ぜ合わせ、ちりめんじゃこ一つかみ、又は細切りにした油揚げ1枚を加えます。出し汁200mlを注いで蓋をし、あらかた火が通ったら、みりん大さじ2,味噌大さじ2、しょうゆ大さじ1、好みで米飴大さじ1〜2を加える。具が柔らかくなれば、強火にして水分をとばすように炒め合わせて、できあがり。チャイブをふって召し上がれ。